蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

仁王経法~結願座~

本年3月11日に発生した東日本大震災。あまりにも広範に渡る被災地域。その一日でも早い復興のため。発災後の巨大津波によって落命された2万名超にも及ぶ多くの方々の鎮魂のため。とにかく、いてもたってもいられずの気持ちで開白した、久米寺でK僧正さまから受法したばかりの仁王経法。
 
本日―――、とうとう結願座を迎えた。
 
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今でも思い出すことがあります。金曜日の震災後、週が明けた月曜日の朝のことです。朝一番から三鷹駅で中央線を待ちました。来る電車、来る電車は超満員。五台くらいをやり過ごして漸く乗り込んだはものの、東京駅までの約一時間はまさに息も出来ないくらいのすし詰め状態。(いつもなら30分~40分くらいで行けるのに)
 
それにも関らず、乗車中の誰一人として文句を言う人間はいなかった…。実際、自分の中では、『こんなくらい何だ。今、この瞬間、冬空の下に放り出されてしまった人たちの苦闘を考えてみろ』と、逆に強い気持ちがムクムクと湧いてきていたのです。
 
きっと、乗り込んでいた人たちも同じことを考えていたのではないでしょうか。『大津波によって何もかも失ってしまった人々の境遇を考えたら、通勤だとか仕事だとかから受けるプレッシャーなど屁でもないよ』なのだと…。そして、『仕事のことで悩めるなんて、自分たちはなんて幸せなんだろう』と…。
 
犠牲となってしまった、あまりにも大勢の命。払うにしては、あまりにも大きな代償。半年もの間、お祈りしながら不思議な感覚ですが、亡くなった方が逆に応援してくれているような、そんな気持ちがして仕方ありませんでした。
 
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『Stand Alone』 
詩:小山 薫堂
曲:久石 譲
あなたと歩んだ あの日の道を探す
ひとりの祈りが 心をつないでゆく
空に手を広げ ふりそそぐ光をあつめて
友に 届けと放てば 夢叶う
はてなき想いを 明日の風に乗せて
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期せずして今年の夏、上野の東京国立博物館では『空海密教美術展』が開催されました。東寺講堂の立体曼陀羅と呼ばれる諸尊群。護国の道場として、弘法大師によって発願建立された諸仏諸明王を拝観した時、時空を超えてお大師さまは心配されているのだろう、そんなことを強く感じたのです。
 
仁王経法は結願座を迎えましたので、次回以降はまたいつもの祈願座にもどって修行するつもりです。
 
而して―――、私の心はいつも被災地の皆さまと一緒であります。
 
『南無本尊聖者五大力菩薩』
『南無本尊聖者五大力明王
『一心祈願国土安穏』
『一心祈願東日本大震災被災地復興』
合掌