アルジェリア人質事件
末席とは言え、海外での仕事を担う一人として、深い悲しみと強い憤りを感じる。事件を首謀したテロリスト達に対して、強く非難したい。
一方、危機対策の専門家は違う見方をしているそうだ。この『アラブの春』は、“テロリストの春”でもあると。
以前であれば、プラント内にさえいれば、厳重な警戒によって身の安全が保証されるとの認識でいた。しかしながら、『今後は違う』ことが、今回の事例によって証明されてしまった。
テロリストはかつて想像しなかったレベルの重武装をしており、それゆえプラント工場に正面から攻め込んだのだ。
ロシアでは2002年、ロシア劇場占拠事件と呼ばれる事件が起こっている。人質の約130人が死亡した。テロリスト・グループはロシア特殊部隊によって殲滅されたが、その時に使用された毒ガス兵器によって、人質は窒息死したとされる。
あの時は『何て荒っぽくて、ひどい話なんだ、人質まで巻き添えにして…』と感じたものだ。しかし、今後はそのような感傷すら許さない厳しい環境が海外では待ち構えていることを、私を含め、多くの関係者が内心で肝に銘じているだろうが、こんなことが許されて良いのか(!)。
遭難された社員のご冥福を自坊にてお祈りしたい。
また、残されたご遺族の皆さまに、衷心よりお悔やみを申し上げます。
【追記】
今回の遭難を『無駄死に』とする人などいない。
寧ろ、日本が世界の中で生き残っていくため、その先陣を切って雄飛されておられたことを、私は忘れることなくやっていくつもりだ。日揮という会社で活躍された方々は我々日本人の誇りであり、その勇気ある事業に裏付けられて、今の日本の繁栄があると思っている。