蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

アビサンボーディ<現等覚>

ある人が密教の『即身成仏』を『作り話』と断じている。(小川一乗著:大乗仏教の根本思想』、法蔵館
http://fallibilism.web.fc2.com/061.html

恐らく『仏と成る』として翻訳したテーゼを前提とするのだろう。そうならば、確かに作り話、それも、『壮大なスケールを有する』作り話だ。

ところで、『成仏』の原義、即ち、現存する大日経チベット語訳本を、真言密教を知ろうとする人ならば、これに格別の注意を払う必要がある。(智山:宮坂宥洪師)

そのテキストには、成仏を説明する言葉として、サンスクリット原題『アビサンボーディ』という言葉が用いられている。これを知った人は、真言密教が主張する『成仏』に対して、その認識を著しく変える必要に迫られるに違いない。

http://www.mikkyo21f.gr.jp/concept_key_joubutu03.html

曰く、『仏としてある』なのだ―――。

空海は、般若三蔵やムニシリ三蔵など、インド出身の学僧からサンスクリット語テキストを学修した数少ない入唐僧である。『アビサンボーディ』=『現等覚』としての成仏は、決して変化する怪異でないことを、(正確に)認識していたのである。

今、『現等覚』というアビサンボディーの訳語を紹介した。この言葉であるが、修験恵印法の護摩供を修行した人は、師僧を通じて『必ず知る』のだ。

当山派修験道とは、弘法大師空海真言密教を、心身を駆使する実践の中で実証する信仰という事実。その人は『雑部密教護摩供』を修行して、『正純密教の真髄』を確信することになる。