蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

アンドレ・ギャニオン

歌手/西城秀樹―――。アンドレ・ギャニオンの『巡り逢い』を歌う姿を、テレビで見た。

彼が脳梗塞で歌手として再起不能の寸前にまで追い込まれたことを、他の番組を通じて知ってはいたが、アンドレ・ギャニオンの曲を、再起に向かうエネルギーに変えていたことを知ったのは、今回が初めてだった。

このアンドレ・ギャニオンのピアノは、家内が、家内の母から時期を同じくしてプレゼンされたCDで聞いた時期があったのだ。まさに『眠るため』―――、『錯乱寸前の意識を鎮めるため』―――、必死の思いで取り組んだ寒中の水行。それによって心身を清浄にし、その後、寝床に就くたび、CDのスイッチを入れる毎日…。

新客の時代、加行に取り組んだ最初の頃。そう、強烈な障碍で苦しんでいた時期。

実は、そのアンドレ・ギャニオンピアノ曲にまさに癒され、寸での所で自分を支えてもらったことを思い出していた。

一人の男が歌手/西城秀樹として在るために、そして家族を守るため、絶望の淵から生還する過程で体験した軌跡は、自分のそれと静かに重なり合うものだった。

その苦しみと、生還し、そして、歌手として復帰できた喜び。それらが心の中で激しく交錯して流した涙とは、体験した人ならば、素直に共感出来るものなのだ。

密かに―――、智慧・弁才・芸術の利生を垂れ給う、弁才天の女神を想った。私たち、それも当山派の新客行者にとっては、決して揺るがせにできない天部の女神だ。そして、歌手/西城秀樹氏にとっても、若しかしたら…。

その人に最も相応しい利生を、音曲(おんぎょく)という形でお授けになり、寄り添うようにして励まして下さったものと、今でも固く信じている。