蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

梨畑

昨日は会社の同僚であり、後輩でもある、Y君宅へ出向いた。彼と奥さま、お子さんの、三人のご家族のお加持をするためである。

都心から電車で約40分ほど乗って、某私鉄沿線の駅前にY君の住むマンションがあった。何でも500世帯くらいある大規模マンションとのことで、エントランスも広く、どこかの商用ビルの受付のようで正直ビックリした。

そこはもともと梨畑だったところに立った新興分譲マンションとのこと。何しろ周囲は畑やら林がまだたくさん残っており、とても閑静(!)である。

そのY君は、私とは別部門の人間なのだが、たまたま米国の駐在員が帰国した際の歓迎会で同席し、個人的な話を含めて相談を受けた。実際、彼については二年くらい前に宿曜道で鑑定した経緯があり、今回もその時の繋がりから、話を詳しく聞くことになった。

『あれから色々あって…』の話の先で、私は率直に言葉で解決するよりも、実際の祈りを感じてもらった方が良いだろうと直感していた。『ともかく行者の後姿をよく見てもらうことだろう』と…。

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Y君宅では、不動尊に祈願し、祈りを凝らした。一緒にいくつかのお経を唱和して後、直ちに彼の奥さまをお加持した。

色々と不調のあったこと、そしてそれが身体上に現れたことはお聞きしていた。恐らく、愛妻家のY君にとっては、恋女房たるRさんが不調でいることは、一にも二にも、会社生活での足かせの元になる筈だ。それは宿曜の占盤が暗に告げていたことである。

合掌した彼女に洒水を施し、そして、瞑目して頭を垂れた彼女に向かって差し出した不動剣印と独鈷が、不動明王の清浄なる猛火に包まれて、彼女とご家族全体を覆って、しかも悪業を完全に焼き清めてしまうことをひたすら観じつつ、至心に真言を唱えた。

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正直に告白すれば、私自身、人さまの加持など、どこか遠い世界の話であった。『自分がお加持なんて出きっこナイ、ナイ、ナイ…』のだと。ところがである、毎日の祈願で名前と願意を上げて、こうやって祈り続けられる最大の理由は何か―――。

昨日の帰りの電車で、何度も自分自身に問い掛けていた。詰まるところ、そうすることで『自分自身が逆に勇気をもらっている』という、かつて考えてもみなかった事実に、凄く深いところで気付かされたということである。その瞬間―――-、ハッとした。

Y君と奥さまRさん、ちびっこT君。どうか楽しくお過ごしください。そしてこういう機会を、末徒の私に与えて頂いたことに厚く御礼申し上げます。

南無大日大聖不動明王。敬白

合掌