東北関東大震災~その6~
「雨ニモマケズ」
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい
この詩は東北砕石工場技師だった賢治36歳の頃、自身の手帳に書きとめられたものである。賢治は、日蓮宗の信者として法華経を篤く信仰していたという。法華経の常不軽菩薩に倣い、地元の実在の人物をモデルにして、この一編の祈りの詩が紡がれたと聞いた。
私も小学生の頃、母からこの詩を暗唱するように言われて、何度も口ずさんだものだ。
我慢強く、粘り強く、弱音を吐かず、じっと歯を食いしばって、未来を信じて、やるべきを黙々とする。これが日本人のDNAなのだ。
『日本を舐めるなよ』―――。
今日も、明日も、自分の出来ることを精一杯やろう。そして、祈のろう。
『南無遍照金剛』
『南無神変大菩薩』
『南無聖宝尊師』
合掌