サラスバヴァティー女神
昨夜、山形のＫ師から久方ぶりの電話があった。『あれっ、どうしたのかな』と、瞬間的に思った。『便りのないのは良い便り』の喩えがあるではないか。
Ｋ師曰く、『先程帰宅して、メールチェックをしていたところ、Ｓさんからのものがあった。何でも、脳内に何らかの異変があり、医師団の診断を待っている。』とのこと。このＳさんだが、密教系大学卒業後、単身でインドに渡り、ヒンドゥー教の灌頂を受けた稀有の人である。
たまたま某サイトで知り合い、彼氏の論考のもつ高い哲学性には、いたく感心していた。とても一般人として市井で暮らす人とは思えず、何よりもその真摯／篤実の人柄が、行間からよく伝わってくることを感じて、『世の中には、スゴイ人がいるんだな』と、『法縁』という言葉はこれを指して言うべきではないかと思っていたくらいだ。
Ｋ師からは、『そういう訳で、これから壇に上がる…』とあり、『貴方もできる範囲で良いから、祈祷してもらえませんか』との依頼を頂いた。娑婆の生業をもつ身であり、そもそも修行中の身ゆえ、『どこまで出来るか分かりませんが…』と返答はしたものの、反射的に、かつて面識すらなかったが、家内と義姉の共通の知り合いのお嬢さんが、所謂『お受験』を控えた矢先、甲状腺障害によって痩せ細ってしまい、受験を断念するところまで追い込まれた窮状を知らされた時のことを、静かに思い出していた。
そして―――、親御さんと同年代で近いこともあり、『何と、不憫なことだ』と感じた次の瞬間から、（今の自分に出来る精一杯の）加持を開始していたのだった。
私のそれは、言うなれば『イチロー型』である。松井のようなホームラン・バッターではなくて、コツコツ確実にバットに当てて、とにかく進塁を重ねた挙句に、ホームに生還させるというものだ。エラーであろうが、内野手がジャッグルして暴投しようが、ヒットはヒットに違いないという、極めて実際的なものだ。それゆえ、その『お受験のお嬢さん』の時も、およさ三ヶ月間に渡って、朝暮のお勤めや、週末にまとめてする祈祷法の中で、各種経文や祈願文を加句する形から始めて（これでもかとアレコレと）工夫した。祈願を受けた以上、ともかく最終的な結果を出すことを目指すものだと思っているが、他でもお願いされた方の祈願は、『己の分際を考えて』そうやって対処している。とにかくコツコツと確実にバットに当てる。これが大事だ。
人間には、生命体としての本来的な自己治癒能力が具わっている。しかしながら大抵の場合、それが何らかのトラブルによって、正しく機能しなくなることが、病気の一因であることは良く知られている。その原因については、弘法大師は『四病』という四つの類型に分類されているが、特に『業病』『鬼病』に至っては、薬力に頼る対処療法の人の間では、想定外もいい所だろう。かつて水行を伝授された明師からは、『お子さんになるほど、回復力が強烈になる』と聞いたことがあったが、恐らく件のお嬢さんも、同様のパワーを加持力によって発揮されたのだろうと思っている。
そして大事なことは、その人に最も相応しい治療スタイルの見つかることであり、そういう善縁を引き寄せることについては、これからもその方向性だけは見失いたくない。『全部、この私のお蔭デス』みたいなことだけは、口が裂けても言うつもりはないが（当たり前だ！）、そうなった瞬間、自分が行者として存在する価値など微塵もない。
その時も『Ａ子チャン、桜●学園お受験合格となったんだって！ 家族全員が涙を流して、飛び上がって喜んだそうよ』。このような話を、家内から後日談として聞いている。何でも受験直前の１月頃から、急激に回復基調となったようなのだ。つまり重篤しか思えない子が、体重がドンドン元に戻って、信じられないくらい急速な体力の回復を見たというのである。
それでも…、『私、拝んだデス』とは、とうとう言わずにおいている。家内とも話したのだが、実際、それで良かったと思っている。何よりも、これが自分なりの『報恩謝徳』の実践のつもりだからである。『そんなこと、お医者さんが良かったんだよ』とバッサリやられても、『きっとそうだよ』と言うことにやぶさかではない。格好つけるわけではなく、半僧半俗をする行者としての、これが本当の気持ちだ。
ともあれ、そのＳ師はヒンドゥーの神々の祝福を受けた人である。密門／験門の祈りは、天部の神々として、それら諸尊を曼荼羅に配置しているが、最終的には大日如来の一員としていますことを、よくよく観じて祈っていきたいと思っている。そういう意味で、先程になるが、夕のお勤めで早速『サラスバヴァティー女神』と、その眷属たる『ナーガ神』に、ヒンドゥーＳ師の窮状をお知らせした。これもまた、きっと何かのご縁あっての事に違いあるまい。明日以降、本尊／大日大聖不動明王、並べ祀る飯綱権現など、諸仏諸菩薩に繰り返し呼びかけていこうと思っている。
★ Ｓさん、ガンバレ！！
Ｋ師曰く、『先程帰宅して、メールチェックをしていたところ、Ｓさんからのものがあった。何でも、脳内に何らかの異変があり、医師団の診断を待っている。』とのこと。このＳさんだが、密教系大学卒業後、単身でインドに渡り、ヒンドゥー教の灌頂を受けた稀有の人である。
たまたま某サイトで知り合い、彼氏の論考のもつ高い哲学性には、いたく感心していた。とても一般人として市井で暮らす人とは思えず、何よりもその真摯／篤実の人柄が、行間からよく伝わってくることを感じて、『世の中には、スゴイ人がいるんだな』と、『法縁』という言葉はこれを指して言うべきではないかと思っていたくらいだ。
Ｋ師からは、『そういう訳で、これから壇に上がる…』とあり、『貴方もできる範囲で良いから、祈祷してもらえませんか』との依頼を頂いた。娑婆の生業をもつ身であり、そもそも修行中の身ゆえ、『どこまで出来るか分かりませんが…』と返答はしたものの、反射的に、かつて面識すらなかったが、家内と義姉の共通の知り合いのお嬢さんが、所謂『お受験』を控えた矢先、甲状腺障害によって痩せ細ってしまい、受験を断念するところまで追い込まれた窮状を知らされた時のことを、静かに思い出していた。
そして―――、親御さんと同年代で近いこともあり、『何と、不憫なことだ』と感じた次の瞬間から、（今の自分に出来る精一杯の）加持を開始していたのだった。
私のそれは、言うなれば『イチロー型』である。松井のようなホームラン・バッターではなくて、コツコツ確実にバットに当てて、とにかく進塁を重ねた挙句に、ホームに生還させるというものだ。エラーであろうが、内野手がジャッグルして暴投しようが、ヒットはヒットに違いないという、極めて実際的なものだ。それゆえ、その『お受験のお嬢さん』の時も、およさ三ヶ月間に渡って、朝暮のお勤めや、週末にまとめてする祈祷法の中で、各種経文や祈願文を加句する形から始めて（これでもかとアレコレと）工夫した。祈願を受けた以上、ともかく最終的な結果を出すことを目指すものだと思っているが、他でもお願いされた方の祈願は、『己の分際を考えて』そうやって対処している。とにかくコツコツと確実にバットに当てる。これが大事だ。
人間には、生命体としての本来的な自己治癒能力が具わっている。しかしながら大抵の場合、それが何らかのトラブルによって、正しく機能しなくなることが、病気の一因であることは良く知られている。その原因については、弘法大師は『四病』という四つの類型に分類されているが、特に『業病』『鬼病』に至っては、薬力に頼る対処療法の人の間では、想定外もいい所だろう。かつて水行を伝授された明師からは、『お子さんになるほど、回復力が強烈になる』と聞いたことがあったが、恐らく件のお嬢さんも、同様のパワーを加持力によって発揮されたのだろうと思っている。
そして大事なことは、その人に最も相応しい治療スタイルの見つかることであり、そういう善縁を引き寄せることについては、これからもその方向性だけは見失いたくない。『全部、この私のお蔭デス』みたいなことだけは、口が裂けても言うつもりはないが（当たり前だ！）、そうなった瞬間、自分が行者として存在する価値など微塵もない。
その時も『Ａ子チャン、桜●学園お受験合格となったんだって！ 家族全員が涙を流して、飛び上がって喜んだそうよ』。このような話を、家内から後日談として聞いている。何でも受験直前の１月頃から、急激に回復基調となったようなのだ。つまり重篤しか思えない子が、体重がドンドン元に戻って、信じられないくらい急速な体力の回復を見たというのである。
それでも…、『私、拝んだデス』とは、とうとう言わずにおいている。家内とも話したのだが、実際、それで良かったと思っている。何よりも、これが自分なりの『報恩謝徳』の実践のつもりだからである。『そんなこと、お医者さんが良かったんだよ』とバッサリやられても、『きっとそうだよ』と言うことにやぶさかではない。格好つけるわけではなく、半僧半俗をする行者としての、これが本当の気持ちだ。
ともあれ、そのＳ師はヒンドゥーの神々の祝福を受けた人である。密門／験門の祈りは、天部の神々として、それら諸尊を曼荼羅に配置しているが、最終的には大日如来の一員としていますことを、よくよく観じて祈っていきたいと思っている。そういう意味で、先程になるが、夕のお勤めで早速『サラスバヴァティー女神』と、その眷属たる『ナーガ神』に、ヒンドゥーＳ師の窮状をお知らせした。これもまた、きっと何かのご縁あっての事に違いあるまい。明日以降、本尊／大日大聖不動明王、並べ祀る飯綱権現など、諸仏諸菩薩に繰り返し呼びかけていこうと思っている。
★ Ｓさん、ガンバレ！！
