大威徳明王法~第六座
大威徳明王法を修法。
天皇陛下が即位されて1年が経ちました。天皇陛下は、疫病に苦しむ人々のため般若心経の写経を奉納された後奈良天皇(1497-1557:第102代天皇/在位1526-1557)に関して、皇太子時代の平成29年誕生日記者会見の席で「国民に寄り添う模範」として、嵯峨天皇を含む7人の天皇のお一人として挙げられました。
その宸筆写経のひとつが醍醐寺霊宝館に所蔵されているのですが、平成29年に御代代わりの準備の一環で同館を訪問された際、歴代天皇のご宸筆をご覧になる中、特に何度も後奈良天皇宸筆の写経奥書を読み返されていたとお聞きしました。
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今茲に天下の大疫にて、万民多く死亡におよぶ。朕、民の父母として、徳は覆すこと能わず。甚だ自ら傷む。ひそかに般若心経一巻を金字に写し、義堯僧正をしてこれを供養せしむ。
こい幾わくは疾病の妙薬たらんことを。
時に天文九年六月十七日
~「後奈良天皇宸翰般若心経奥書」~
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ヤーマンタカとして、即ち「死の王として終焉をもたらす者」から、仏法守護の「死の王を征服する者」―――。
大威徳明王尊の利生に「所望(しょぼう)」とあります。私の中では、修法座を重ねる毎に、この意味するところ、つまりは、この仏さまがご自身のご誓願を、新型コロナウイルス禍の状況下、誠に深甚なものであることを示そうとされている、そういう思いが深まっています。
五大明王のお一人である大威徳明王尊は、他の仏さまと同じく、大乗般若空の教えを守護するご誓願を立てておられます。現下の非常事態においては、その無尽蔵とも言える大威力にお頼みすることは誠に相応しいと思います。大ピンチに陥った日本のため、そして世界のため、そのお力を無限大に発揮されますよう、引き続き祈願を続けていく所存です。
「南無大聖焰曼徳迦威怒王」
「南無遍照金剛」
合掌