蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

令和四年壬寅 太元帥大法

別稿でも記した通り、昨日本山にお参りしました。醍醐寺にて修法されてきた太元帥大法が150年振りに再興され、その一座に参座されることが許されたからです。

上の写真で最初にお断りしておきたいのですが、幕の色は水白でした。撮影感度の影響で、黒白に映っていますが、水白でした。要は「神祇のいます聖域」ということであります。

この建物の中にある「純浄閣」で、参座者一同は待機。その後、担当されている別当僧のご案内で修法道場である「彌勒堂」に向かいました。(因みに純浄閣と彌勒堂に通されたのは伝法灌頂の時以来になりますので、15年振りということになります)

今回特筆すべきは、修法道場内に参座させて頂けたことであります。無論、行法の性質上、宗内関係者に限定されたものです。修法道場の一般公開「後拝み」は10月10日からとのことです。

さて、別当長さまのお話しの中に「開かれた皇室」というものがありました。それは今上陛下が皇太子時代の最後の訪問地として醍醐寺を訪れた際、門跡猊下と親しく懇談された中で、特に強調されたとの内容でした。

鎮護国家の祈り、即ち「世の中の平和と安寧を祈る」という行法の主旨と、その懇談内容とのバランスと申しますか、天皇陛下の代替わりにのみ修法される秘法との関連性を考慮しつつ、現代社会にどのようにフィードバックしていくべきか――、社会との接点を見出すべくの「一致点」を(僭越ながら)さまざまに模索された結果をそこに垣間見たような気がして、非常に印象深く受け止めました

www.daigoji.or.jp

今回の道場荘厳に際しては、上記リンク先にあるよう「醍醐寺文書:太元御修法道場支度記、宮中太元帥御修法図」や、昭和三年十一月に教王護国寺にて修法された「支度記」などを参考に、可能な限りの復興を目指したとのことです。

実際、道場の規模などで、思うに任せない配置(恐らく四種護摩壇などの配置ではないかなと…)があったとのことでしたが、それでも「聞きしに勝る」圧巻の荘厳を目の当たりにし、同時に大法ならでは大勢の職衆供僧の熱祷を目前にして、深い感銘を受けました。

若しかしたらこれが「最初で最後の参座」なのかも知れません。一方、世界全体を見回せば、戦火に見舞われている国が今この瞬間あるわけで、独り日本だけが平和のうちに繁栄を享受していれば良いとは到底言えない、そのように思っております。

当日の参座を記念して、参座者には「御影のお守り(左)」と「御香水」が授与されました。別当長さまからは、「この御香水は本日修法にも同じく使用されたお下がりであります。ご自宅の清浄なる場所に安置して、次の天皇陛下が即位される御代まで大切にして頂きたい」とのご説明がありました。

早速、本日の掃除をして後、自坊の本尊大聖不動明王の脇に安置致しました。これから日日の祈りを通じて礼拝していく所存です。

合掌