蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

孔雀経法~開白座

孔雀経法を開白しました。

2年前の10月、東大寺の伝授道場にて授けて頂いた以降、今回が2回目の開白となります。結願に向けて、しっかりと修行していく所存です。

さて、唐突ながら、行法の中に「金剛眼」という作法があり、少しばかり説明したいと思います。これは先に結願した「一法界ソリヤ法」の中にもあるものです。

+++

修法する行者が、自ら加持したその両眼を密壇上の諸々に差し向け、清浄の場所とするべく、魔障を退散させ、併せて結界を張る――、このような観念を含む所作を行います。

+++

+++

この作法は、何も修法中に限定されたものだけではなく、修法道場に入る際にも行います。行者は、その眼を通じて、修法道場の床一面に咲き誇った一々の蓮華、蓮華、蓮華…を足下に観じながら、修法壇に向かいます。

+++

私は普段は会社員をしています。

この金剛眼の作法を修する度に「日常の通勤風景を金剛眼で眺めるべし」という思いに捉われます。そういう思いで、バスに乗り、電車を乗り継ぎ、駅ナカ、そして、会社までの道のりを歩いています。

上の写真は、昨日の会社からの帰り道で撮影しました。「ああ、きれいだな」と、この7月に再就職した以降、ずっと感じていました。

+++

このような風景――、平和であればこその風景であります。「都会地の夜景!」というだけでは足りません、特に今の世界では。

この平和を乱す動きに対して、微力ではあっても抵抗しなくてはならないと思っております。行者として出来ることは「祈ること」です。

前職時代に一緒に働いた仲間が、若しかしたら「動員されるかもしれない」という、まさかの事態となっています。愕然としています。

+++

今回、修法本尊として「国立博物館孔雀明王像(国宝)」の色紙を開眼しました。この色紙は、記憶は定かではないのですが、もう20年くらい前、国立博物館売店で購入したものだったと思います。

東京国立博物館 - コレクション コレクション一覧 名品ギャラリー 館蔵品一覧 孔雀明王像(くじゃくみょうおうぞう) (tnm.jp)

その時は「こういう仏さまをいつか拝めたらいいなあ」くらいの、本当に夢物語みたいな感覚でいました。

前回の開白では、実はこの色紙のあることを失念していたため、別なる孔雀明王絵図にて二十一座を拝んでいました。勿論、その絵図の優劣を述べているのではありません。その時はその時で、その時点の私に最も相応しい本尊絵図として、ご縁を授かったのだと思います。

そして、今回――、「機縁が熟して」という言葉の通りになったような気がします。なぜなら、孔雀明王という仏さまのご誓願は、「仏母大孔雀明王経」に記述された内容に沿えば、専ら「息災」だからです。勿論、四種法のどの分野も(降雨、止雨を含めて)広大にカバーされることを利生とされていますが、経典は息災の利生を専らとしているのです。

但し、その息災に特別なフォーカスをされた内容には、私は、甚深の意味(秘密)が隠されていると(とても強く)感じています。

+++

東大寺における伝授の最後に「横死者、変死者」に係る秘事のお話が、伝授阿闍梨さまからありました。私のノートにも、しっかり記録されている口訣です。

+++

今この瞬間、遠く9000キロ離れた場所では、戦闘と死闘が繰り広げられています。もう半年以上も経過しています。昨夜の報道(自国の領土に併合する云々)を知って、ますます終わりが見えない状況になったと思っています。そして、この間にも犠牲者の数だけは容赦なく増え続けています。

私は、市井の一行者として「その口訣が目指すところ」を胸に刻んで、これからしっかりとお祈りしていく所存です。

+++

「南無三世仏母大孔雀明王

「南無遍照金剛」

「南無神変大菩薩

「南無聖宝尊師」

合掌