蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

施食作法

意外かもしれないが、今まで施餓鬼を拝んだことがなかった。神供はあっても、施餓鬼、即ち『施食作法』だけは、不思議なくらい、トンとご縁がなかった。

無論、お供物の閼伽など、『南無法界万霊』を唱えながら流すことから始めて、或いは、諸天真言や鬼神呪などを欠かさずに唱えたりしては、本尊さまにお仕えする眷属の、そのまたお使いとなる神霊など、まったく意識しないことはなかったが…。

伝法灌頂を受けて後、改めて一尊法として授かった千手法。若しかしたら、これが機縁となったのかもしれない。ともかく、この炎暑の中、漸く伝授の機会に恵まれた(大汗)。同門のIさんと一緒の伝授となり、私が奉行役となり、先ずは音木を鳴らして礼拝だ。

さて―――、その内容だが、まさに『丸暗記して真っ暗闇でする』ためにだけ編纂されたようなスタイルというのが、率直な印象だ。師僧の学院時代、『H・N大僧正から伝授を受けたものだ』と教えてくれた。

師僧曰く、『これを含めて、先々代の門跡と、W先生のそれと、三つあるのだけれども、これはその中で一番シンプルな作法になっていると思うよ』とのことだったが、いくつかの口伝箇所を含めれば、『誠に要は尽くされている』と、ひどく僭越ながら感心してしまった。

実際、伝授を受けるまで、冒頭で述べた如く、私は『長い時間』を過ごしていた。その間、大覚寺のS門跡の書籍を取り寄せたり、W・S先生の次第書などを参照したりと、それなりの『予習』に余念はなかった。だから、余計に『まさに拝む行者によって、拝みやすいような独自の工夫がされている次第』を感じずにはいられなかった。

帰坊して、早速一座拝んだ。当たり前かもしれないが、たどたどしく拝んでしまったせいか、その後、カミソリ負けしたところから、(にわかに信じられないと思いますが)突然血が噴き出して、顔だけでなく、胸まで真っ赤に染まってしまった。『まるで餓鬼だぁ』(苦笑)。

その次の夕刻、また一座拝んでみたが、今度は(少しだけ)うまく出来たような気がした。『長く待たせちゃってゴメン、ゴメン』というような感じだった。

『これから折に触れて拝むからね。応援よろしくね』みたいな、心の会話すら楽しめたような気がして、とても嬉しかった。