蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

AさんとY君~その4~

昨日、Aさんから社内電話があった。一時は重篤で、大いに心配されたY君。彼の具合もだいぶ良くなって、とりあえず通学できているのでお礼に、とのことだった。それで、なんと(?!)目の前に取り出されたのが、善光寺で求めたと言う『七味唐辛子』。

『これで…』と、少し恐縮されている様子もあり、まずは職場のブース内に移動。手の平サイズのそれを捧げ持ち、咄嗟に有り難く頂戴した。

それでと言うわけではないが、拝んでいる最中に受けた感覚など、分かる範囲で説明した。実際、『拝んでいる前後で、頭の此処がズキズキするんですよね』と言いつつ、頭のその部分を指差すと、『まさにその位置なんです、Yの怪我。どうして分かるの~、え~』と、逆に質(詰?)問されたりした。

『行者の身体に具体的に出てくると、却って好転する兆しだって聞いたことがあるんです』。病者加持に専心するK先生の言葉を思い出し、Aさんを励ました。

ここで『七味唐辛子のAさん』の名誉のためにお断りしておくが、今回の件では、お礼らしきものは前もって一切お断りしてきたので、彼女にも相当に遠慮があったようである。対価としての金品など、万一でも口の端に出るようなことあらば、その瞬間、『Aさん、ストップ』と言うつもりくらいでいたから、多分、職場における私の表情などを見てそうだったのだろうと。

ともかく、半僧半俗の誓いを立てた身。別段格好をつけるわけではなく、職場の同僚のSOSに応じ、自らの信条に忠実に、ひたすら伝灯の秘法を祈ったし、それが『趣旨』なのだ。

蛇足ながら、就業規則について言えば『副業禁止』であることは、他の企業と同じだ。ある意味、当然と言えば当然なのかもしれないが、それがメインの話ではない。

何だかんだと忙しかった一日を終え、会社から帰りの電車内でフッと一息。車窓からは、夕闇に包まれたオフィス街の光が、やけに煌々としてまぶしい。

『お礼に七味唐辛子…』。フフフッとばかり、ひとりでに笑みがこぼれた。本尊さまにも『熙怡微咲』とばかりに笑って頂けたなら、もうそれで十分だろう。