蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

聖無動直法⑨~継続は力なり~

聖無動直法をお祈りする。
 
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ある人が、
 
聖徳太子が仏教思想の導入に熱心だった背景に、大中華帝国圏内と一定の距離を置くことを睨んだ、高度な外国戦略があった』と…。
 
翻って真言密教の思想は、インド大乗仏教の精華として厳然する。この思想体系について、儒教などとは完全に一線を画する精緻さのあることを、智山の故宮坂大僧正さまが発言された記事を目にして、驚きと共に今でも非常に鮮明に記憶している。
 
弘法大師が請来された密教は、中国での学修とはいえ、実態は極めてインド伝灯の祈りそのものである。恵果和尚は中国人であったが、その師となる不空三蔵、さらに金剛智三蔵となってくると、もはや“大中華スタイルの色合いだけ”ではなくなる。
 
また、これは結構言われない場合が多いような気がするのだが、弘法大師は恵果和尚からの正系の密教授法の前に、般若三蔵とムニシリ三蔵からサンスクリット語の学修をされていることは重要である。
 
“漢訳”でない経文、即ち『スートラ』として般若心経を始め、サンスクリット原文の経典を学ばれていることで、漢訳される過程で変質してしまいがちな経文の一字一句を正確に把握されたということは重大なのだ。(これが晩年の『般若心経秘鍵』として結実したのではないだろうか…)
 
そもそも護摩(HOMA)にしても、古代インドのバラモンが修行する次第書に極めて忠実な組み立てになっていることは、上述の故宮坂大僧正さまの著述で明らかにされている。
 
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護摩(HOMA)について追記すると、私の職場では次のターゲット市場として南インドの開拓を始めている。そこで開所式で、現地では『プージャ』(PUJA)と呼んでいるのだが、護摩が修された。そう、PUJAとは『供養法』のことである。
 
聞くと、何か事を始める前に『PUJA』とう呼び名のHOMAを必ずするので、取り立てて珍しいものではないとのことだ。日本で言えば、宮司さんをお呼びして、お祓いするのと同じ感覚である。
 
こうやって見ると、祖先の着眼したポイントには、非常に示唆に富む箇所があるのではないかと感じる。『外交政策』など、どこか違う世界の話のように感じるが、私たちの信仰の中にも高度な戦略として活用された(秘密の?!)箇所のあることを知って、とても感慨深いものがある。
 
『南無大日大聖不動明王四大八大諸忿怒尊』
合掌