蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

今年の火渡り修行

毎年体育の日は、恒例の火渡り修行だ。師僧のお寺で開催された柴燈護摩に、承仕として助法させて頂いた。無我夢中でやって、あっという間だった。

『それにしても、昨日は暑かったデス』

まず朝8時頃から、法会の仕度だ。柴燈護摩道場の総仕上げを行う。結界の縄を張り、事前に申し込みのあった護摩木とお札は壇前へ。渡火して加持した後の取り扱いなど、ここで確認する。

次に大祇師(導師)の獅子吼座の準備なのだが、昨日は雨降りがなかったこともあって、すでに設置済みだった。

それからマイクのセッティング、参道にのぼり旗を並べ、庫裏では接待の準備など。やることが一杯で、まさに『総出仕』だ。(ご興味のある方は手伝いしてみませんか?ハハハ)

午前中は堂内で護摩法要。本尊/千手観音さまに法楽を捧げ、護摩供が修行された。因みに、本年より私は法衣を変更(!)した。従来は午後の火渡りがあるため、修験装束は修験装束でも、ずっと鈴掛衣と袴で腰縄と脚半をつけていた。そのまま屋外に出られるようにしていたのだ。

しかしながら伝法灌頂を授かった後は、当山派の教師らしくと、少し考えるところもあって、『掛衣と袴』にした。要は、本山道場でするようにしただけなのだが…。淡い柿染めの生平麻の衣を(気合で!)新調しての出仕となったが、これで少しは師僧の伴僧らしくなったかも…。

午後は柴燈護摩。正式には『柴燈護摩供・火生三昧(かしょうざんまい)』と言うのだが、一般に分かりにくいので(笑)、『火渡り修行』と言っている。(横浜市無形民俗文化財に指定されています(ご参考まで))

昨日の柴燈護摩は、『まさに空高く』という形容詞がピッタリだった。点火してからしばらくの間、護摩壇からは真っ白な白煙が晴れ渡った青空に向かって濛々として立ち昇り、峰中で執行される秘密護摩供を彷彿とさせるような、とても神秘的な一瞬を見たような気がした。

先に述べたように、横浜市文化財登録されていることもあり、昨日のように晴れると、大勢の史跡めぐりツアーの方々も飛び入りで参拝される。進列の集合場所に行ってみると、『ちょっと、あ~修験者よ』とか言う声が飛び交っており(苦笑)、いつの間にか写真撮影会みたいになっていた…。

『こっちお願いします!』『どうも有り難うございました!』とあり、アニメのコスチュームを熱愛する若者たちと、瞬時に同化してしまったようだ。

当日は師僧の学院時代の後輩にあたる方が、お弟子さま数名を連れて来山。助法をして頂いた。ほんのちょっとだけしか会話できなかったが、少ないやり取りの中にあっても、『へえ~、そうなんだ』という具合に感心することがあるものだ。

依って立つ場所は微妙に違うけれども、素直なこころを以って有り難い法縁と受け止めることが出来るならば、『修行に終わりなし』の教えは、案外と自然な形で身につくものではないだろうか―――。

そんなことをつらつらと思いながら、帰途についた。