蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

蛇瀧

副住職のYさんと、恒例の修行実修会を兼ねて高尾山の蛇瀧へ。新緑の高尾山は絶好の好天に恵まれ、肌に触れる霊気がとても心地良い。

今日は高尾山のミニ回峰行もメニューに加える意味で、高尾山口から徒歩で尾根筋まで登攀。そのまま蛇瀧へ向かった。

この水行場は、先々代の東●霊神僧正から歴代の住職が修行してきた場所である。行場横に並ぶ歴代先師方の石碑の真中に、ひときわ大きな碑が建立されていたのだが、それが先々代のもの、即ちYさんの曽祖父のそれであり、実際に間近にして見上げるとひときわ感慨深いものがあった。

『へ~、●△って言うんだ』と、今さらながらというか、石碑の上で僧名を見つけたYさんの声。今日初めて知ったのだが、東●霊神僧正の僧名の上の文字と下の文字が、それ以降の弟子らに振り分けられるようにして使われていたのだ。大発見だった(笑)。

それにしても、女性の参加者の多いことは驚きであった。『何が楽しくて…?!』など、余計なお世話というものだろう。それぞれに心中期するものがあってのこととすれば、男性だろうが女性だろうが、関係ない道理だ。

寧ろ、高尾山がミシェラン三つ星の観光地として喧伝された背景として、変な言い方になるが、『女性でも安心して訪問できる祈り&修行の聖地』として整備されたことは重要である。修験道修行では、ともすれば女人禁制の掟が、現代社会の物差しだけで判断されることの弊害がしばしば指摘され、しかも、それが大きな誤解を生む遠因となっているからである。

ともあれ、私たち二人も新客の初心に帰って、蛇瀧の作法のイロハを心を空っぽにして学んだ一日だった。私たちが水行場から出た後、背後で女性修行者の宝号を一生懸命唱える声がこだましていた。今日は水量が少なかったとは言え、5メートルの高さから落ちる水の圧力を甘く見ることは禁物だ。

中興俊厳大徳を起点とし、それ以降の数百年間、綿々として先師方が護持された水行場。喧騒に明け暮れる日常を離れ、歴史的な清浄の聖地に入ることを許されたことへの感謝。

そして―――、六根清浄に向かう祈りに打ち込む瞬間は、時間の長短とかに象徴される世間一般の尺度から、その人を大きく引き離して、そして一切合財を洗い清めてくれる。

『南無青龍大権現』どうも有り難うございました。

合掌