蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

不動護摩~理智不二~

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今回、ようやく完成した(ばかりの)広略作法の次第で拝むことにした。

すでに完成して日は経っていたのだが、冬場は前行の出仕が多く重なってしまうこともあって、落ち着いて“トライアル”を実施できなかった。今回は、師僧のお寺の護摩堂をお借りした。自坊がマンションであるため、その点どうしても不自由になってしまうが、これもまた思し召しの一つなのだと思っている。

この護摩供、表向きは『不動護摩』である。そして当山派の護摩である。

その当山派の護摩は、概ね真言小野流の次第を踏襲している。詳しくは『主要密教経軌解説』(八田幸雄著:平河出版社1985)を(どうか)参照して頂きたい。どうして“表向きは…”になるのか、直ぐに理解されるだろう。

この不動護摩供に到って、当山派修験道の世界観が鮮明になる。『修験道の本尊さんは不動さんでないんです。実は大日さんなんです』ということを言われた先達がおられるとの由(*)。まさにその言葉のもつ深秘を、この護摩供次第を編纂した先師は、極めて真摯に哲学的な思惟をして表現しているのだ。

そして、そこには『柱源神法』の作法の一端も挿入されているのだが、この場合、柱源はインドに発したホーマ(homa)を、我が国の神道がイメージするものに変換して重ね合わせるための、重要なキーになると直感する。

さて―――。

日常の大部分の時間を過すであろう、各人の職場、或いは、家庭。その後も、人生の節目に当たり、『選択』を迫られている人の話が、直接間接に耳に飛び込んできている。それは引越の是非だったり、人生の伴侶探しだったり、雇用契約の更改問題だったり、本当に様様だ。

因みに、昨夜は自坊鎮守への拝礼中であったが、どなたかは存じ上げないが『間違いなく訪問された』ようである。背後で人の気配がして、畳を踏む音が聞こえたのだ。その瞬間はチョッとばかり驚いたが、何となく心当たりがあった。その前の日くらいから、お勤めの最中に心中に強く湧いてくるイメージがあった。きっと、その彼女の“お祖母ちゃん”なのだろう。

『ならばご一緒に拝礼しましょう。どうかそこに直って合掌なされませ』と、心の声で呼びかけた。

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生きとし生けるものの、様様な思いの在るがゆえに、それぞれの思いに応えて相応の利益を施し、さらには、その求めるところに向けて円満に導き給うのである。(不動経)
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乃至法界平等利益 敬白

皆さまのご多幸をお祈り申し上げます。

合掌

(*)岡野忠正(智山教化センター所員)
 『空海密教コンセプト 大峯修験-即身成仏の実修練行』