蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

先人の智慧

最近は、週末になると護摩供の修行をしているのですが、自宅から護摩道場まで、着替えを登山用ザックに入れて背負い、手には法螺貝などを入れたバッグを持って出かけております。修行中の護摩は、実に修験道独特のもので、そういう意味では駅のターミナルを移動する際は、『自分は峯から峯を駆けるつもり』で(笑)、都会の人ごみの中を歩いて行きます。階段/エスカレーターの上り下りでも、歩幅を緩めることなく、ともかく『ひたすら前へ、前へ』と思ってやっていますが、足腰がえらく鍛えられている(!)ことも実感中デス。

地球温暖化の影響なのでしょうね、きっと。今年は特に暖冬なのだそうですが、Y市郊外にあるその護摩堂は一番北の部屋にございます。それも北側の山の斜面に接している…。そういうことも手伝って、日が差しません。ずっと日陰です。結局、寒いのをガマンすることには変わりはなく、『ザ・修行!』でございます。

ところで、道場のあるお寺の本堂では、希望された方に対して個別に護摩供を修行して、丁寧に拝んでおります。通年の行事とは別に、昔からそうやって拝んでいます。これが週末と重なることは結構多くあり、諸堂を参拝する途中で、ご来山される方々をお見かけします。

何かに取り付かれたようにして、硬い思い詰めたような表情で訪れた方が、帰り際には(明らかに)ホッとしている様子。これを見るにつけ、こちらも正直ホッと致します。『目の動きの止まった顔』から、『目がキョロキョロする顔』へ…。ほぐれてくるんですネ。

『良かったですね、元気だしていきましょうね』と…、心の中で呟いてお見送りしています。辛いことを背負うのが浮世の習いとは言え、独りで背負い切れないことがあれば、仏さまの御手に委ねて置いていけば良い―――。先人の遺してくれた智慧を活用しない手はありません。