蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

小僧さん

師僧のお寺は、さほどメジャーではないが、某観音霊場の札所となっている。十二年に一回、子年にご開帳があるため、来年の今頃は、多くの団体参拝もあって大いに賑わうことになるだろう。

霊場全体が、積極的にPRしているほどではないようだが、昨今の霊場参拝ブームもあるのだろう。週末に訪れる人が、心なしか増えているような感じだ。比率として、年配の男性が多いように見える。

先々週の土曜日は、諸堂巡拝(と言っても、そんなに広い境内ではないが…)途中の様子を、デジカメで撮影されてしまった。子犬を連れて散歩中の初老の男性だった。

先週の日曜日は、夫婦連れの参拝者をお見かけした。諸堂巡拝から戻って来たところ、勿論のこと何事かは存じ上げないが、お寺の本尊/千手千眼観世音菩薩に、夫婦並んで、熱心に祈りを捧げておられた。

お二人の後ろを回るようにして、本堂に上がったところで、丁度お帰りのようである。山門のところで丁寧に一礼された時、私も本堂の上がり口からになるが、合掌してお見送りをさせて頂いた。

ご主人と思われる方と眼が合った時、まるで何かにビクッとしたかのように、その山門で、慌てて深々と(もう一度)一礼をされた。その時の様子が何故か脳裏に焼き付いてしまい、片付けを終えて帰路についたのだが、改めて世間の人がお寺に求めている事を確認したような気持ちがしている。

その初老の男性もまた、恐らくどこかの企業戦士なのであろう。師僧は『山寺だよ』とか言っているが、都会地の郊外にあるロケーションであることから、近隣ベッドタウンに住む、企業勤めと思しき人の参拝は殊のほか多いような気がする。

ともかく、じっと何かに耐えているような感じは、一目見て直ぐに分かった。きっと平日は、私が娑婆でするのと同じようなところで、アレコレと奮戦している人なのだろう。かつて上がった高野山親●院で、山門を出るまで、ずっと手をついて見送りされた小僧さんのことを、フッと思い出したところだ。私も『あっ、あの時の小僧さん』と言ってもらえるよう、精進していきたいものだ―――、つくづくそう思った。