蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

関東三十六不動霊場巡拝記~発心編③~【第二番札所/道了尊】

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★ 第二番 道了尊 清瀧不動尊

【ご本尊】 釈迦牟尼如来

【三十六童子】 制多迦童子

ご詠歌
○ にごりなき 真澄の月を 足柄の 杉のこのまに 見るぞうれしき

【開山】
● 応永元年(1394)
● 了庵慧明禅師

【巡拝記】
東京駅から新幹線で小田原へ。お参りとは直接関係ないが、新幹線に乗るとなぜかむしょうに『新幹線コーヒー』が飲みたくなる。

唐突だが、真っ先に印象に残ったのは、『朱印帳の字がきれいだ♪♪』みたいなことだった(笑)。

ここは曹洞禅の大寺にして、れっきとした祈祷寺院である。『れっきとした…』と申し上げて少し失礼かもしれないが、若し教科書とおりの知識で凝り固まった人がみたら、『曹洞禅のお寺で祈祷?!』みたいなことを言い出しかねないだろう―――。道元禅師の思想から言って『あり得ない』とする人は、少なからずいるだろう…。そういうことに対する危惧である。

しかしながら、こういうところが信仰実践の奥深いところであり、しかも道了尊とは、三井寺勧学院の修験者/相模坊道了尊が『山の神霊(⇒天狗)』となった姿なのだ。開山の了庵禅師を外護すべく飛来したのである。要は、教科書と実際は、当たり前だが『違う』ということである。

以前から話にはお聞きしていたが、実際の御影を拝見してみて、咄嗟に高尾山飯綱権現との重ね合わせた。特に白狐に乗り、大火焔を背負いつつ両翼を広げて移動する御影は、鎌倉時代の関東における日本密教の代表的な神霊像だ。

ところで清瀧不動は、割と小さめなお堂に、それもひっそりお祀りされているという印象だった。小さいお堂だが、きっと大勢の人々のお願い事をお聞き届けになってこられたのだろう。

そこから山上方向に移動すると長い階段があり、それは十一面観音をお祀りする奥の院へと続く。ちょうど梅雨終盤を迎えた湿度の高い日だった。汗だくになって喘ぎながら、階段を上った。

今、十一面観音と記したけれども、この仏さまの存在を奥の院で確認して、まさしくここは『神仏習合信仰の禅寺だ』と確信したものだ。神霊をお祀りする修験本山派系の影響を受けたお寺には、本地仏としての十一面観音はほとんど例外なく祭祀されているからである。

さて、本堂の下を歩いて大きな下駄の横を移動していたあたりで、大太鼓の音が…。お寺の案内板によると『道了尊のご祈祷』とのこと。

そこで合掌して祈念される人のことを、フッと思い浮かべた。きっと大いなる利生を頂いて、満ちた思いを胸に刻んでお帰りなる人が、今日も明日も大勢おられるのだろう―――。そんなことを思いながら、下山の途についた。

【data】
曹洞宗大雄山最乗寺 
* 神奈川県南足柄市大雄町1157
http://www.daiyuuzan.or.jp/

合掌