蓮華童子の日記

真言秘密行法の修法@自坊を中心にアップして参ります。

病者加持法の伝授

本日は病者加持法を伝授いただきました。受者は私を含めて計3名でした。

普段はなかなか踏み込めないディープなお話がお聞きすることが出来た気がして、大変に勉強になりました。

「諸大事十結(略称:十結)」という「加持祈祷作法」を江戸期に集成した書物があります。近世智山の法匠たる六波羅蜜寺慈運房隆誉僧正(1653-1711)が伝承されてきた種々の諸作法と秘密大事を10巻に集成されたものです。その書物がベースとなって、後世の先師方がご自身の「現場体験」を加味して様々な作法な工夫を加味されてきた経緯があります。今回はその一端を授けて頂いたものです。

大阿さまのお話をお聞きして率直に感じたことは「テーラーメード」。一着一着をその人の体形に合わせて仕立てていくが如くの「丁寧な祈り」が重ねられてきたのだなと。

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ところで、私は企業勤めをしていることもあり、近年特に顕著となってきた「マニュアル個別対応」の限界を身近で感じる一人であります。時代は「DX」デジタルトランスフォーメーション(デジタル技術を通じた制度変革)に移行しており、スピード感のあるダイナミックな動きが好まれる傾向は否めません。

今回、帰り道の電車内では、企業勤めの人たちと今回お授け頂いた秘法をどうやって結び付けていったら良いのかを、かなり真剣に考えてしまいました。

そこでハタと思いついたのは、意外かもしれませんが、企業の人たちが最も恐れる「もらい事故」への対応が、今後の課題になっていくのだろうなということです。

例えばですが、川崎大師では「産業事故撲滅祈祷」という護摩法要があります。その場には京浜工業地帯に工場を構える名だたる企業責任者が参座されます。

うちのような会社(商社)でも御多分に漏れず「諸災消除」のような願意が結構好まれる傾向を(何となくですが)感じる時があります。「商売繁盛」「社運隆昌」という増益よりも、息災の方なのです。それも「ほとんど調伏に近い息災」ではないかと感じています。

「頭のいい自分たちが(?!)これだけキッチリ詰めているのだから、災難が完全シャットアウトされたら後はハッピーでしかない」みたいな考えを吐露した人は実際におり(!)、その観点からすると「別なる意味で度し難い」のではあります…(苦笑)。→まさに「病者」ですね(笑)。

ただ、日常の様々なニーズを「十結」からピックアップし、行者が信仰する本尊さまの供養法を繰り返し修行するなかで、そのシチュエーションに最も相応しい作法として「現場で修法する」ことは、別なる意味で重要に相違ない、有意義でない筈がない――、そのようなことも諸々考えているところであります。

「頭が良いと自他ともに認める/認められている分、逆に度し難い人たち『病者』」をどうやって引導するか、私自身に課せられた、ある意味新しいテーマなのかもしれません。

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ともあれ、自坊に帰山してすぐに御礼の法楽を致しました。日日の修行を積み重ねながら、今回授けて頂いた作法が必要とされる時は、即座に対応できるよう準備をしていく所存です。

合掌